更新日:2024年12月11日

認知症介護基礎研修の義務化とは? 受けないとどうなる?

認知症介護基礎研修の義務化とは、2021年度に決定されたルールで、介護業界で働く人への影響があります。2024年度から完全に義務化されたため、内容について正しく理解し、必要な研修を受けることが重要です。

この記事では、認知症介護基礎研修の受講対象者や内容、受講しないとどうなるかなどについて解説します。介護業界に携わる方はぜひ参考にしてください。

認知症介護基礎研修の概要

まずは、認知症介護基礎研修とはどのようなものか、義務化された背景などについてみていきましょう。

認知症介護基礎研修とは

認知症介護基礎研修とは、介護施設で認知症の方をサポートする際に必要な知識やスキルを身に付けるための研修です。厚生労働省が管轄する認知症介護実践者等養成事業の1つで、認知症ケアの基本を学ぶ研修として位置づけられています。

義務化の背景

認知症介護基礎研修が義務化された背景として、日本社会で高齢化が進んでいることが挙げられます。厚生労働省が公開している『日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究』という資料によると、2025年には高齢者のおよそ5人に1人が認知症患者になることが予測されています。

しかし、従来の制度の中では、認知症の方の介護に必要な知識を身に付けるための機会が十分ではありませんでした。そこで、介護サービスに携わる全ての人が認知症ケアについて正しく理解できるように、認知症介護基礎研修が義務化されています。

研修の受講対象者と免除条件

認知症介護基礎研修を受ける必要がある対象者と、受講が免除される条件は次の通りです。

受講対象者

介護保険施設などで認知症ケアのサービスを提供する職員の中で、医療福祉に関する資格を取得していない人が、認知症介護基礎研修の対象者です。2024年度以降は、無資格者は認知症介護基礎研修を受けないと、認知症ケアに従事することができません。

免除条件

介護福祉士や介護支援専門員の資格を取得済みの場合は、認知症介護基礎研修が免除されます。また、次のような研修を修了している方も免除の対象です。

  • 実務者研修
  • 介護職員初任者研修
  • 介護職員基礎研修課程
  • 生活援助従事者研修
  • 訪問介護員養成研修一級課程、二級課程

さらに、認知症介護実践者研修や認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者研修を修了している場合も、認知症介護基礎研修の受講は不要です。

これらのほか、福祉系高校で認知症に関する科目を受講した方や、養成施設で認知症に関する科目を受講した方も免除の対象となります。ただし、卒業証明書や履修科目証明書などの書類が必要です。

介護施設における人員配置基準に基づき、従業員数に算定されない方や、介護に直接携わらない従業員も、認知症介護基礎研修の免除対象です。

認知症介護基礎研修の内容と受講方法

ここでは、認知症介護基礎研修で学ぶ内容や、受講方法について解説します。

研修内容

認知症介護基礎研修で学ぶ内容は、認知症ケアの基礎となる理念や考え方です。認知症の定義や認知症を引き起こす原因疾患、主な症状、生活や心理面に与える影響についても学びます。また、認知症の方への適切な関わり方やチームケアの基本、家族介護者を支援する方法なども研修で学ぶ内容です。

これらの内容について講義を受けた上で、確認テストで理解度をチェックします。

受講方法

認知症介護基礎研修の受講方法は、eラーニングによるオンライン研修または集合型の研修のいずれかです。介護保険施設や事業所の責任者を通じて申し込むことで、研修を受講できます。

受講方法や申込方法は研修の実施団体によって異なるため、自治体が指定する実施団体のホームページなどを確認しましょう。

受講しないとどうなる?

認知症介護基礎研修の義務化に伴って、違反した場合の罰則などが定められています。認知症介護基礎研修を受講しない場合の影響は次の通りです。

受講の義務化と罰則

2024年度以降、認知症介護基礎研修を受講していない従業員が認知症ケアに携わった場合、介護事業所が指導の対象となり、改善報告書の提出が必要です。新たに雇用した従業員が無資格の場合は、採用から1年以内に認知症介護基礎研修を受けさせる必要があります。

介護職員としての影響

認知症介護基礎研修の義務化はあくまでも事業所に対して課せられたルールのため、介護職員が個人として罰則を受けるリスクはありません。ただし、認知症介護基礎研修を受講していない場合、介護の現場で携われる業務範囲が制限されます。

まとめ – 認知症介護基礎研修の重要性

認知症介護基礎研修は、免除対象となっている方を除き、認知症介護に従事する全ての介護職員が受けるべき研修です。2024年4月からの完全義務化にともない、対象者に研修を受けさせていない事業者は罰則の対象となります。認知症介護のサービスを適切に提供するために、認知症介護基礎研修を受講し、知識やスキルを身に付けましょう。

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参考:静岡県限定の介護職求人・転職情報|ふじのくに静岡介護求人ナビ

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