更新日:2025年01月24日

傭車(庸車・ようしゃ)とは? メリット・デメリットなど

傭車(ようしゃ)という言葉は、運送業などに携わったことがあれば一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、一般的には聞き馴染みのない言葉でしょう。簡単に言うと、運送会社が自社の仕事を他者に依頼することをいいます。この記事では、傭車という言葉の定義と成り立ち、下請けとの違い、メリット・デメリットなどについて解説します。

傭車(庸車)とは?

庸車は「庸車」と表記することもありますが、基本的にはどちらも同じ意味で使われます。ここでは傭車の定義や下請けとの違いについて解説します。

傭車の定義と成り立ち

傭車とは、運送会社が自社の仕事を他の運送会社や個人事業主のドライバーに依頼することをいいます。繁忙期や急な欠員などによる人員不足など、さまざまな場面で活用されています。

そもそも傭車という言葉は、「傭兵」と「車」を組み合わせた言葉です。「傭兵」とは戦場において給料を支払う契約で雇う兵隊のことをいい、傭車も同様に報酬を支払う契約で雇うドライバーという意味合いになります。

傭車と下請けの違い

「傭車」と「下請け」はどちらも同じ意味で厳密な違いはなく、あくまでも運送業界内で使われている用語です。傭車や下請けのような事業形態は、「利用運送」が正式名称です。ただし、場合によっては個人事業主のドライバーへの依頼を「傭車」、運送会社への依頼を「下請け」と使い分けているケースもあります。

傭車を利用するメリット

傭車はさまざまな状況にも柔軟に対応できるなど、多くのメリットがあります。ここでは傭車を利用する主なメリットを3つ紹介します。

繁忙期やイレギュラー対応での柔軟性

繁忙期をはじめ、急な欠員や突発的な受注などのイレギュラーな事態においても、傭車を利用することで柔軟な対応が可能になります。とくに繁忙期は通常時と同様の体制では業務をまかないきれないため、傭車を利用することで足りない人員をカバーすることが可能です。

また、ドライバーの急な退職や、病気やケガなどで一時的に勤務できない際にも、傭車を利用して通常通りの業務を行えるようになります。

自社リソース不足の解消と業務の拡大

傭車を利用すると、イレギュラー時の人員不足のカバーはもちろん、コストの削減やリソース不足の解消になる場合もあります。

必要なときだけ傭車を利用すれば、通常業務で使用する車両やドライバーの人数を最小限に抑えられます。車両の購入費や維持費、自動車税、人件費などのコストを削減することが可能です。

また、傭車を利用することで、これまで対応できなかった範囲の業務に対応できるようになる場合もあります。たとえば自社では冷蔵品や医薬品などの特殊輸送に対応できなかった場合でも、特殊な車両や専門スタッフを備えた運送会社に依頼することで対応が可能になります。

新たな協力関係の構築と売上の安定化

傭車を利用するということは、他の運送会社や個人事業主とのつながりができるということです。イレギュラーな事態にも対応できるような協力関係ができると、安定して業務が進むようになり、売上の安定化にもつながります。

物流の業務は季節によって繁忙期や閑散期があったり、景気変動の影響を受けたりと、いつも一定の物量であるとは限りません。企業や個人事業主など、協力できるドライバーがいることで、物量の変化に対応し、業務を安定化させるためにも重要です。

傭車のデメリットや課題

傭車にはさまざまなメリットがある反面、デメリットや課題もあります。利用の際にはデメリットについても理解したうえで対応することが大切です。ここでは傭車のデメリットや課題を3つ紹介します。

コミュニケーションや管理の難しさ

自社の車両やドライバーであれば、普段からコミュニケーション可能ですし、走行中もデジタルタコグラフなどで現在位置を把握することも可能です。しかし、傭車となると、自社の場合と比べてコミュニケーションがとりにくいというデメリットがあります。

ドライバーとコミュニケーションがとりにくいと、意見のすれ違いや、情報伝達の行き違いなどが発生するおそれがあります。また、自社の車両でなければ運行状況の把握や管理も難しくなるでしょう。

自社の信用リスクと傭車先の教育不足

傭車を利用する際は、自社と同様の教育を行うことが難しいため、想定外のミスやトラブルが起こるリスクがあることを理解しておきましょう。自社のルールや慣例を把握していないドライバーの不手際でトラブルが発生したり、「対応が悪い」「荷物を丁寧に扱っていない」などのクレームがあったりした際には、自社が責任を負うことになるケースもあります。トラブルやクレームの度合いによっては、顧客からの信用を失うリスクもあります。

運行管理の複雑化とリアルタイムの把握が困難

自社の車両であれば自社システムにより運行管理が可能ですが、傭車を利用する際には自社システムが利用できない可能性があります。連携や運行管理が不十分になると、荷物の紛失など深刻なトラブルにつながりかねません。

また、リアルタイムでの管理が難しくなるため、事故や渋滞などのトラブルが発生した際にも対応が遅れてしまうおそれがあります。

まとめ – 傭車のメリット・デメリットを把握しておきましょう

傭車を適切に利用することで、さまざまなイレギュラーな事態にも対応が可能になり、業務をスムーズに進められるようになります。ただし、コミュニケーションや管理面ではデメリットがあることも理解しておきましょう。

ドライバー・配送業の転職・求人情報はこちら

  • コンテンツリストへもどる
  • コラムカテゴリーへもどる

ページトップへ戻る

下へ