更新日:2025年01月24日

ラストワンマイルとは? その意味と物流の課題について解説

物流用語として使用される「ラストワンマイル」という言葉。どのような意味なのか、具体的にご存知でしょうか。この記事では、ラストワンマイルの意味や由来、なぜ「ラストワンマイル」が注目されるのかについて解説します。

ラストワンマイルとは?

ラストワンマイルとは、もともとは通信業界で使用されている言葉です。その言葉がなぜ物流業界で使用されるようになったのでしょうか。まずはラストワンマイルの意味について、由来も交えて解説します。

ラストワンマイルの意味と由来

ラストワンマイルは、英語の「last one mile」が由来です。直訳すると「最後の1マイル」となりますが、距離を意味するのではなく、物流の最終拠点からエンドユーザーに商品が届くまでの区間、つまり物流の最後の区間のことを意味する言葉です。

通信から物流業界への応用とその重要性

ラストワンマイルは、もともとは通信業界で使用されている言葉で、最寄りの基地局から利用者の通信デバイスまでの区間のことを意味する言葉です。物流業界においても最終拠点からエンドユーザーまでの最後の区間が重要視されるようになり、通信業界で使用されていた言葉を流用して、使用されるようになりました。

ラストワンマイルの課題

ラストワンマイルが注目される背景は、近年の物流状況の変化に伴いさまざまな課題があるからです。ここではラストワンマイルにおける主な3つの課題について解説します。

ドライバー不足と再配達の負担

ラストワンマイルだけではなく、物流業界全体でドライバー不足が深刻化しています。2024年4月からは、働き方改革関連法の施行に伴い、運送業においても労働時間の上限規制が定められました。今後もドライバー不足の状況が続くことが懸念されます。

また、再配達によるドライバーへの負担も大きな課題のひとつです。再配達となった荷物は営業所に持ち帰り、指定された日時に改めて配送しなければなりません。再配達の荷物が増えれば労働生産性に影響を与え、ドライバーにとっても大きな負担となります。

配送の効率化とコスト増大の問題

オンラインショッピングの普及により、個人宛の小口配送が増え、配送量が増加しています。配送量が増加すると、より効率的な配送が必要になるため、物流センターの整備や配送車両・人員の確保などが必要になります。
また、当日配送や翌日配送などのサービス向上への取り組みの影響で、配送コストが増加しているという問題もあります。
ドライバー不足や再配達によるコストの増大に加え、より効率的で低コストな配送方法の確立も、大きな課題となっています。

配達困難なエリアと利用者ニーズの多様化

過疎地域など配達困難なエリアへの配送は、配送コストの面で大きな課題があります。人口が多い地域と比べると配達件数が少ない点や、それぞれの配達場所が離れている点など、どうしても配達コストが高くなってしまいます。

ECサイトの利便性の向上や、フリマアプリなどの普及などにより利用者ニーズも多様化しているため、さまざまな地域に早く荷物を届けるためには課題が多いといえるでしょう。

ラストワンマイルの課題解決方法

ラストワンマイルの課題を解決する方法について、ケース別に3つの方法を紹介します。

受け取り手段の多様化:宅配ボックス・ロッカー・置き配など

宅配ボックスやロッカー、置き配など、多様な受け取り手段が選択できるようになると、再配達の負担軽減につながります。宅配ボックスは非対面で荷物を受け取ることが可能な設備で、在宅・不在を問わず配送が完了するため再配達が不要になります。

また、配送業者が駅などに設置されたロッカーに荷物を入れて受取人が自分で回収する方法や、玄関先などの指定された場所に荷物を置いておく置き配なども、再配達を減らすためには有効な手段です。

新技術の導入:自動配送ロボットやドローン

自動配送ロボットやドローンなどの新技術による配送方法は、ドライバー不足の解消や配送速度の向上が期待できるため注目が集まっています。交通渋滞の影響を受けにくい点や、非対面で荷物を受け取りたい人のニーズに応えられる点など、さまざまなメリットがあります。

とくにドローンは、過疎地域や離島などでも定期的・安定的に配送できるという点から、より期待が高まっているといえるでしょう。

MaaSやシェアリングエコノミーの活用による効率化

物流MaaS1)やシェアリングエコノミー2)の活用は、物流業務の効率化にとって効果的な取り組みのひとつです。物流MaaSは、交通渋滞を避けた最適な配送ルートを選択できるようになるため、効率的に配送できるようになればドライバー不足の解消にもつながります。

また、シェアリングエコノミーにおいてさまざまな企業間で車両や倉庫、配送スタッフなどを共有することで、コストの削減やリソースの有効活用にもつながるでしょう。

1) IT技術やデータなどのデジタルテクノロジーを活用することで、配送ルート、労働力を最適化し、より効率的な物流を目指す取り組みのこと。

2) インターネットを介して、個人や企業が所有する「場所・モノ・スキル」などの資産を共有すること。

まとめ – ラストワンマイルと新しい技術の活用

ラストワンマイルは、物流業務のなかでもとくに重要視されるようになってきています。再配達やドライバー不足による負担を軽減するためにも、新しい技術を活用しながら、効率的に配送が行われるようにしていくことが求められています。

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