特別養護老人ホームの転職・求人

特養で働く看護師の転職・求人状況|転職状況や未経験での就職について

特養で働く看護師の転職・求人状況|転職状況や未経験での就職について

特別養護老人ホーム、通称「特養」は要介護3以上でかつ在宅での生活が困難な65歳以上の高齢者が長期的に入居する公的な介護保険施設です。

独立行政法人福祉医療機構「2020年度特別養護老人ホームの人材確保に関する調査について」の資料によると64.1%の特養で、直接処遇職員が不足している状況です。
介護職員が大きな割合で不足しており、次いで看護職員が不足しています。
看護師は国家資格が必要な職種であり、介護職員にはできない医療行為に携われることから介護業界では引く手あまたです。
特養は医師が常駐していない施設がほとんどであることから、緊急時に医療的サポートや判断ができる看護師は貴重な存在です。
また特養は需要の高い公的介護施設であることからも、看護師の転職状況も良好といえます。

転職を検討している方の中には、介護業界未経験の方もいるでしょう。
特養で働く看護師は介護業務がメインでないことが多いため、介護に関する知識や経験がない未経験の方でも働きやすい環境と言えます。
また、「病院で高齢者看護をしていた」「高齢者と接する機会が多かった」という方であれば特養の仕事は馴染みやすく、病院よりもゆったりと長期的な関係を築きながら働けるでしょう。

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特養で働く看護師の仕事内容

特養で働く看護師の仕事内容

特養で働く看護師の主な仕事内容は、入居者の健康管理や医療行為です。
下記に、具体的な仕事内容を挙げていきます。

・体温や血圧などのバイタルチェック
・服薬管理、与薬
・胃ろう、喀痰吸引、点滴、在宅酸素療法などの医療行為
・入退院や外来受診の同行
・医師による診療の補助
・急変時の対応、処置
・施設内の感染予防対策や医療上の指示
・介護業務やレクリエーションの補助
・看取り、ターミナルケア
・オンコール対応 など

基本的には健康管理や医療行為を中心とし、入居者さまの健やかな生活を支えます。
特養は終身利用が可能であることから、最近では看取りケアに対応している施設も増えています。
看取りやターミナルケアは、看護師が中心となって動く重要な仕事の1つです。
また看護師は常勤1名以上の配置が義務付けられていますが、夜勤や当直の配置がない施設が多く、夜間はオンコール体制を取っている施設が多い点が特徴です。

特養で働く看護師の役割

特養で働く看護師の役割

特別養護老人ホームにおいて、医療行為に対応できる看護師は重要な役割を担います。
普段は、入居者さまの健康管理を中心に行いますが、医療ニーズも伴う中重度の要介護者が多い特養では、医療ケアの提供だけでなく、医療機関との連携や調整の面でも看護師が欠かせない存在です。
体調の異変や急変における緊急時の判断の多くは、看護師に委ねられる機会も多くあります。

また、特養は看取りに対応していることから、終身利用ができる介護施設です。
日本看護協会による「介護施設等における看護職員に求められる役割とその体制のあり方に関する調査研究事業報告書」によると、2016年4〜12月の期間内で特養の94.9%が施設内で入居者を看取っています。
近年はさらに看取り需要も高くなっていることから、看取りケアに力を入れている特養も多くあります。
入居者さま本人やご家族の希望に沿った最期を迎えられるよう、看護師は看取り計画を作成するなど、入居者さまの人生に大きく関わる重要な存在なのです。

特養で働く看護師の給料

特養で働く看護師の給料

厚生労働省「令和2年度介護事業経営実態調査結果」によると、特養で働く看護師の月給は以下の通りです。

看護師 常勤   422,652円
看護師 非常勤  375,894円
准看護師 常勤  382,542円
准看護師 非常勤 349,664円

また厚生労働省「令和2年介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護施設で働く看護職員の平均給料は以下の通りです。

【常勤の場合】
平均年齢   50.9歳
平均勤続年数 9.7歳
平均給料   379,610円

【非常勤の場合】
平均年齢   54.4歳
平均勤続年数 7.4年
平均給料   249,190円


全体の平均給料と比較すると、特養で働く看護師の給料水準はやや高といえます。
とはいえ、地域や特養施設によっても給料については差があるため、上記調査結果に基づく給料は参考としてください。

特養の看護師の仕事体験談

特養で働く看護師の転職体験談:働いてよかったこと

特養で働く看護師の転職体験談:働いてよかったこと
(40代 男性)

特養は病院とは異なり、お一人おひとりを最期まで看護することができます。
その方の人生の最期まで寄り添い看護できること、そして看護師の人数が少ない環境なので、医療的な問題を介護スタッフと連携して解決した時にやりがいを感じます。
夜勤がないことも、体力的なことを考えると良いと思います。

特養で働く看護師の転職体験談:働いてよかったこと

特養で働く看護師の転職体験談:働いてよかったこと
(30代 女性)

特養では利用者さまの日常生活にはいりこんだ看護ができます。
日常生活での経過を近くで見ているため、普段の様子との違いを感じ取りやすく、早期発見というケアができる点は看護師としてやりがいを感じます。
また普段からコミュニケーションを取り利用者さまが心をひらいてくれるときや、日々の楽しいふれあいが仕事を続ける原動力になっています。

特養で働く看護師の転職体験談:大変だったこと

特養で働く看護師の転職体験談:大変だったこと
(60代 女性)

施設に医師が常駐していない場合は、日中になにかあった時の判断は看護師に委ねられることが多くあります。
その点は看護師の責任が大きく、負担に感じることもあります。
また夜間でもオンコールで相談を受ける場面もあるため、夜勤がなくとも常に油断はできない点は大変な部分でもありますが、大きなやりがいも感じています。

よくある質問

特養で働く看護師の1日の流れを教えてください。
下記で、特養で働く日勤看護師の1日の流れをご紹介します。
8:00  出勤:利用者さまの状態や病院受診のスケジュール、処置などの確認
8:30  業務開始:申し送りやカルテ記入、バイタルチェックや巡回、内服の確認を順次行う
12:00 昼休憩
13:00 巡回やバイタルチェック、口腔ケアなどを実施
15:00 内服の確認、夕方の胃ろう準備、カルテ記入など
17:00 胃ろうや遅番への申し送り
17:30 退勤

巡回による利用者さまの状態チェックを行いながら、時間帯に応じてバイタルチェックや胃ろう、インスリン注射や口腔ケアなどを行います。
基本的には健康管理や医療業務を担当し、必要に応じて介護業務やレクリエーションなどのサポートに入ります。
施設によっては日勤だけでなく、早出や遅出、夜勤シフトとなるケースもあるでしょう。

上記スケジュールは参考であり、施設によって具体的な仕事内容や流れは異なります。
特養と老健で看護師の業務内容や給料に違いはありますか?
まず特養と老健とでは施設の特徴が異なり、老健は原則3ヶ月間の入所で医療ケアやリハビリを受けながら在宅復帰を目指すための施設です。
特養よりも医療的な施設であり、病院と老人ホームの中間のような役割を持ちます。

主な仕事内容に大きな違いはありませんが、老健は医療ケアに比重を置く施設であることから、特養よりも医療業務が多くなります。
しかし老健は医師が常駐しており、介護職員よりも看護師の割合の方が多く、緊急時もスムーズに対応しやすい環境です。
また老健も特養と同様に看護師の夜間配置は必須ではないものの、夜勤のある働き方が一般となっています。

給料については、厚生労働省「令和2年度介護事業経営実態調査結果」でみると、特養と老健の看護師の給料の違いは以下の通りです。
准看護師は特養と老健とで大きな差はありませんが、常勤看護師は老健の方がやや高い給料水準となっています。

【特養看護師】
常勤 422,652円
非常勤 375,894円

【特養准看護師】
常勤  382,542円
非常勤 349,664円

【老健看護師】
常勤  448,962円
非常勤 362,987円

【老健准看護師】
常勤  382,799円
非常勤 334,143円